長野智子さん、ありがとうございました!

先日、TVF2024の開催に先立ち「TVFジャーナリズム賞」の選考会が行われました。長野智子さん、筑紫ゆうなさん、神保哲生さん、 下村健一さんが、候補作品について熱心に議論をされていました。毎回のことですが、多忙な皆さんが時間を調整していただき作品の選考をしていただきました。
長野智子さんは、この賞の新設された2018年から審査委員に加わっていただきましたが、TVF2024の作品選考でひと区切りとなりました。 これまでのTVF開催当日は、ご自身の番組と重なり来場いただけなかったのですが、いつも丁寧なビデオメッセージをお送りいただきました。 長野さんの映像に対する視点は、TVFへの貴重な提言でもありました。ありがとうございました。
TVF副代表理事 佐藤博昭

TVFジャーナリズム賞専任審査委員

審査委員とTVF関係者
TVF2024「ジャーナリズム賞」選考過程に立ち会って思ったこと
先日行われた「ジャーナリズム賞」の選考過程は僕にとっても大変刺激的でした。まずは下村健一さんの進行で、長野智子さん、筑紫ゆうなさん、 神保哲生さん、下村健一さんが、それぞれ気になった作品についてコメントしていきます。そこでは評価したいポイントと、 もう少しこうしていれば、というポイントが指摘されていきます。もちろん、厳しい指摘もありました。ただ、それは皆さんが 「気になったこと」を放っておけないからだと思います。とても注意深く細かい点まで観た上で、どうすればより良く伝わるのかという点が強調されていきます。 審査委員の皆さんの言葉から、それぞれが大切にしている「ジャーナリズム」という視点、あるいは批評軸が散見されました。 4人のそれぞれの批評軸は、ある時重なっていたり、別の方向を示したりしています。気づかなかった視点から作者の意図を掴もうとする、 あるポイントを拾い上げ、論議の俎上に登ることもありました。こうして様々な視点、多様な批評軸から、描かれた出来事を見つめ、 そういう時間だったと思います。

「TVFジャーナリズム賞」は2018年に新設された賞です。2011年に筑紫哲也さんのご家族・房子さん、ゆうなさんのご厚意により、 「筑紫哲也賞」が新設されました。選考の重要な要素は、ジャーナリスト・筑紫哲也さんのまなざしを継承することでした。 房子さんとゆうなさんには、選考の経過を丁寧にお伝えいただきました。「TVFジャーナリズム賞」は、「筑紫哲也賞」の理念を継承する形で新設されました。 現在は、4名の審査委員によってひとつの作品が選ばれています。作品選考の議論を通じて、TVFに「ジャーナリズム」というもうひとつの批評軸を提示し続けています。 この20年ほどの推移で、TVFに応募されてくる映像作品がドキュメンタリーを主流としていることも、この賞の重要性を示しています。
また、TVFビデオ大賞の選考でも、これまでに何度も議論されてきたことを思い出しました。TVFは審査委員の論議の結果、その年を象徴するような作品を選出する。 このことに重要な意味があります。つまり「大林宣彦賞」や「羽仁進賞」を設けてこなかったという歴史です。 審査委員が各賞を選出すれば、それ以上の論議にはなりません。審査委員の合意で選出するためには、それぞれが納得しなければなりません。 僕自身も「どうして佐藤さんはこの作品を推すの?」と、何度も問われました。自分の批評軸を説明し、作者に代わるような気持ちで描こうとしたことを示さなければならない。 それは僕にとっても自分を問われるような時間でした。そうして最終的に選ばれた大賞作品と、「ジャーナリズム賞」 で選ばれた作品は、一致することも異なることもあります。それは、映像に対する異なった視点、複数の批評軸があるからです。 あるいは「大切にしたいこと」がそれぞれに違っていると言ってもいいと思います。そしてそれらの論議で現れた言葉は、 決して無責任には発せられていないという事に、あらためて気づかされました。みなさん、気になったことを真剣に話し合っているのです。 「ジャーナリズム賞」がもうひとつの大きな賞であることの意味を再確認しました。

今回の選考会の場所は、堀潤さんが運営する「8bitNews」のスタジオでした。 これも審査委員の皆さんの繋がりで実現したことでした。ありがとうございました。
「TVFジャーナリズム賞」の選考経過と受賞作品の発表は、3月30日のTVFフォーラムで行います。
TVF副代表理事 佐藤博昭

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